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2025.06.17 REPORT

REPORT 玄月音夜會―あがた森魚さんとセイゴオエレジー

2025年6月12日、セイゴオの10回目の月命日にあわせて、追悼記念企画「玄月音夜會」の第一夜目を開催しました。ゲストは、セイゴオとは半世紀におよぶお付き合いのあった、シンガーソングライターのあがた森魚さん。

 

セイゴオとあがたさんの出会いは1977年に遡ります。この年の秋、稲垣足穂と野尻抱影が相次いで逝去して、セイゴオが編集長をつとめる「遊」で急遽追悼記念号の出版企画が動き出しました。このとき、セイゴオがあがたさんに、足穂の文章を楽譜にしてほしいと依頼したのです。それからというもの、あがたさんとセイゴオは、折々に足穂さんへの敬慕を分かち合ってきました。

 

音夜會は、セイゴオ追悼とともにタルホワールドへの郷愁を込めて、あがたさんの練りに練った構成で繰り広げられました。

 

オープニングで、あがたさんの2024年の演奏旅行の映像に、オーバーラップさせながらあがたさんが登場。あがたさんがコロナ・パンデミック以降続けてきた「タルホ・ピクニック」がそのまま本楼にやってきたかのよう。

 

宇宙的郷愁と大地への礼節を奏でる歌と演奏と語りによって、会場に詰め掛けた長年にわたるセイゴオの友人やファンたち、またこの日初めて本楼に来たあがたファンまでを魅了。

 

休憩の中のおもてなしは、イシス館御用達のまほろ堂蒼月さん(世田谷区宮坂)の特製の練り切り。あがたさんの歌「百合コレクション」と、演奏会後の懇親会を担当する白百合醸造さんにちなんで「ユリ」を象ったもの。

 

第二部冒頭で、セイゴオからのメッセージ。タルホ・ピクニックを立ち上げたあがたさんのために収録された2020年の映像メッセージ。あたかも本楼のライブを「遠いディスタンス」から覗いているかのような語り口に、思わず涙する観客も。

 

第二部はピアノ弾き語りからスタート。ときに歌い上げるように、ときにささやくように、「冬のサナトリウム」「いとしの第六惑星」ほかいくつかの曲を次々と連鎖させていく。

 

太田香保(松岡正剛事務所)からあがたさんへのインタビュー。太田がセイゴオとあがたさんの意外な3つの共通点を挙げながら質問。あがたさんの答えは、過ぎ去ったものたちや愛おしいものたちに対する一途さにあふれるものばかり。

 

ラストは、セイゴオ生涯の愛唱歌だった「赤色エレジー」。イシス館のスタッフたちは、あがたさんの熱唱にセイゴオの唄声を重ねて胸奮わせていた。

 

演奏会後は、音夜會マダムこと傳田京子さん(写真左)のご案内で、甲府のワイナリー白百合醸造の内田由美子さん(写真右)のワインとフードを味わいながらの歓談会。

 

内田さんプロデュースによる「食べる宝石」のようなフィンガーフード。

 

*松岡正剛追悼音夜會、第二回は7月18日(金)19:30~、作曲家・ピアニストの山下有子さんをお迎えします。