セイゴオちゃんねる
最新情報最新情報
2020.09.08 REPORT

8・28オンライン講演『千夜千冊の秘密』の秘密(メイキング篇/上)

 

セイゴオのオンライン・トークライブ「千夜千冊の秘密」レポートの本篇につづき、事前打ち合わせやリハーサル、設営などの様子を捉えた記録写真によるメイキング篇をお届けします。題して、「『千夜千冊の秘密』の秘密」。

 

本楼でのダメだしリハーサル(8月19日)

 

本番に先立って、イシス館本楼を「樫山代官山」のギャラリーに見立てて、セイゴオと進行管理スタッフ数人によるリハーサルが行われた。舞監をつとめる西井カツユキさん(POMAT PRO)による会場設営と動線のプランに沿って、セイゴオが実際にパフォーマンスをしながら、各パートの細かな動きや語りのモードを確認していくというものだ。セイゴオにとっては、組み立てつつあるシナリオを、実際の語りを通すことでさらに緻密に練り上げていくための大事な機会ともなる。

 

この日のセイゴオは、複雑な導線をひとつひとつ確認しながらのリハーサルということもあって、なかなか本番のトークの調子やモードが掴めないでいるようだった。無理やりセイゴオらしい加速感を出そうとしすぎるあまり、シナリオに沿わない話をついつい入れ込み過ぎては、「こんなんじゃない」と自分にダメ出しする場面もしばしば見られた。

 

「ただのオンライン講演なんかやるつもりはない」というセイゴオの宣言のもと、多くのスタッフがかかわりながら、前代未聞のトークライブの実現に向けて着々と準備が進むなか、数々の本番修羅場をくぐってきたセイゴオにして、ついつい気負いからくる焦りが出てしまっているようだった。

 


本番の会場レイアウト案どおりにテーブルや黒板を配置、プロローグからエピローグまでのシナリオに沿って、セイゴオがパフォーマンスをして見せる。

 

L:西井さんの手元の会場動線プラン R:進行管理の宮本ちほさん(POMATO PRO)がリハーサルの進行に合わせて必要事項を確認していく。

 

L:西井さん、プロマネの和泉にさらに太田も加わって、セイゴオの語り口やパフォーマンスにあれこれの意見を出し合う。R:セイゴオの活動現場に張り付いて撮影をしつづけてくれる後藤由加里さん(写真)と林朝恵さん(映像)がこの日も一部始終を激写。

 

L:なかなか本調子が出ないと嘆くセイゴオを、後藤さんと寺平がしきりに励ます。R:リハーサルのあとは、林さんが撮影した映像を見ながらの反省会に。

 

20箱の本と50人のスタッフ(8月27日・設営)

 

開催日間近になって、事件が起こった。あろうことかセイゴオが発熱し、二日間ほどの完全休養を余儀なくされてしまったのだ。検査結果は、細菌性の風邪だった。COVID-19ではなかったことは幸いだったが片頭痛がひどく、容態によっては開催延期もやむなしという方針が、松岡事務所と主催者である丸善雄松堂とのあいだで交わされた。

 

セイゴオは抗生物質で細菌を抑え込み、なんとか復帰し準備を再開した。それでも回復しきれないまま本番を迎えざるをえないことは明らかだったが、本番前日9:00からは予定どおり、会場である「樫山代官山」のギャラリーに20箱ぶんの本がイシス館からピストン輸送で運び込まれ、設営がはじまった。

 

進行管理を預かるポマト・プロ(代表:飯島高尚氏)、照明のMGSチーム(代表:伊東啓一氏)、撮影と映像配信を担当するCEDARGROWチーム(代表:小杉克彦氏)、そのほか音響チーム(早川一範氏ほか)、装飾・施工チーム、それに松岡正剛事務所と編集工学研究所スタッフ合わせて50人近いスタッフたちが、それぞれの持ち場のディレクターの指揮のもと、準備を進めていく。

 

千夜千冊本を積んでいく本の空間づくりでは、EDITHONの櫛田理さんが応援に駆けつけてくれた。空間デザインのアクセントとなる豪華大型本や、藤本晴美さんへのオマージュを込めたインゴ・マウラーの照明器具も櫛田さんの提供によるものだ。

 

L:照明・音響・映像チームが次々と機材を運び込み、進行チームが着々と設営の段取りを指揮していく。R:この日のために作製された本を並べる台も設置される。

 

L:本のディスプレイでは「MUJI BOOKS」を手がけた櫛田理さんが腕を奮ってくれた。R:都内を探し回ってやっと手配した、“板書OK”の感染防止用のアクリル板も搬入。

 

L:20箱分の「千夜千冊本」は、西村が数日がかりでイシス館各所の本棚から集め揃えた。R:壁面ミラーに貼った本楼の書棚写真は、西井さんと太田のアイデアによるもので、こちらも小森・寺平たちが奮闘して撮影。

 

L:本番直前まで夜を徹しての作業に追われた編集工学研究所の映像担当・小森康仁(写真左)とタイトルデザイン担当・穂積晴明(左から二人目)。R:撮影・配信を統括した小杉克彦氏のもと、ベテランカメラマンが若手にディレクション。撮影チームは3台のカメラを駆使して、セイゴオの動きをシミュレーションしながら画作りに挑んだ。

 

L:宮本さんがセイゴオ役をつとめながらテクニカルリハーサルを進めていく。R:テクリハの進行に合わせて、新品の「千夜千冊全集」を大事そうに出し入れする寺平と、大学生の兒玉真太郎さん。

 

現場スタッフ以外にも、スクリーン画像の制作協力者として、ウェブ千夜千冊と本をダイナミックにデザインした美柑和俊さん、角川武蔵野ミュージアムのタイトルデザインを提供した佐伯亮介さん、「千夜千冊エディション」のモチーフデザインを担当した町口覚さん・浅田農さんといったデザイナーたちも腕を揮ってくれた。

 

もともと丸善150周年記念講演会という枠組みで企画されたもの、決して十全な予算が用意されていたわけではないが、主催者側も会場を提供してくれた「樫山代官山」も各チームも、このコロナ禍のなかで前代未聞のオンライン・トークライブをやるというセイゴオの心意気に応じて、万全の協力体制を組んでくれたのだ。

 

それだけに、直前の“発熱事件”は関係者に衝撃を与えることになってしまった。セイゴオとしても、忸怩たる思いがあったことだろう。

 

舞監をつとめる西井さんの進行で、オールスタッフの最終確認ミーティング。樫山代官山の石原智耶さんが、現場で困っていることはないかと常に気を配ってくれた。

 

エントランスの「千夜千冊書」の展示に、樫山代官山の丹野さんの紹介で、写真家の杏橋幹彦さんが駆けつけて協力。杏橋さんは「千夜千冊」の愛読者でもある。

 

L:本講演の冒頭と最後に登場した丸善のシンボル「鐙」の字は、カルプボードを型抜きして作成したもの。R:本のディスプレイのなかにこっそりアミュレットのように置かれていたセイゴオ人形とペコちゃん人形。「ペコちゃん」は、藤本晴美さんの愛称でありトレードマーク。

 

MGSの井上靖雄さん・岡井奈緒さん・青木みちるさんがつくりあげたブルーライトによる幻想的な空間に、セイゴオも感嘆の声をあげていた。

 

8・28オンライン講演『千夜千冊の秘密』の秘密(メイキング篇/下)