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2021.10.08 PUBLISHING

PUBLISHING 千夜千冊エディション22弾『全然アート』堂々完成

千夜千冊エディション第22弾『全然アート』が完成しました。これまでのエディションのボリュームをはるかに超える、堂々の560ページです。発売は10月25日(予定)。

 

 

フェルメールと八大山人を、
洞窟画とコーネルの箱を、
ダダと棟方志功とジャコメッティを、
対角線に語って全然かまわない。                   (前口上より)

 

千夜千冊が扱ってきた古今東西のアーティストのなかから、とりわけセイゴオが触発され、贔屓にしてきた大胆無敵の異能者たちが勢ぞろい。未然のアートから、忽然アート、慄然アート、艶然アートまで、セイゴオならではのキュレーションによって、美術が発見し営んできた思考と技術の方法論の数々を繙いていきます。

 

また台割設計上、可能な限りアート図版を詰め込むという異例の方針により、これまでの「エディション」にくらべて、ビジュアル的にもいっそう贅沢な一冊となっています。

 

 

背幅25ミリ、重さ300グラムの存在感。表紙カバーは写真家・北野謙氏による赤ちゃんをテーマにしたフォトグラム作品「未来の他者」より。造本設計を担う町口覚さんの窈然アート感覚の賜物。

 

 

 ぼくはアートを好きに見てきた。鉄則は三つだけ、①贔屓目に見る、②何に触発されたかを感じる、③技法を注視する。そのうえで作品の時代背景や作家の事情、ソーシャルズやサブカルズとの関係、批評の言葉などを補完する。

 

 アートはもともとARS(アルス)であって、仏師や装飾職人や靴づくりの仕事から区別されるべきものではない。どんなアートもアルス・マグナ(大いなる発見術)とアルス・コンビナトリア(組み合わせの技芸)の一部なのである。建物と窓と絵画と神々とパトリビュートとは一緒くたのもので、山岳と恋愛と憂鬱とリプリゼンテーションの動向と暴動と商品とは同じ範疇にあるものなのだ。


追伸「洞窟画とデュシャン」より

 

 

口絵には、本書に収録された千夜本の表紙たちとともに、マルセル・デュシャンの顔が浮かぶ。

 

 

『全然アート』
角川ソフィア文庫 2021年10月25日刊行
本体価格2000円

 

第1章 ルーツを覗く

デヴィッド・ルイス・ウィリアムズ『洞窟のなかの心』1769夜
矢代幸雄『水墨画』607夜
ヴィクトル・ストイキツァ『絵画の自意識』1031夜
宮下規久朗『カラヴァッジョ』1497夜
ジャック・リンゼー『ターナー』1221夜

ほか5篇

 

第2章 北斎・ピカソ・ジャコメッティ

周士心『八大山人』1093夜
ワイリー・サイファー『ロココからキュビズムへ』1777夜
マックス・エルンスト『百頭女』1246夜
マレーヴィチ『無対象の世界』471夜
ジャコメッティ『エクリ』500夜

ほか6篇

 

第3章 アートワールド 

マルセル・デュシャン『デュシャンは語る』57夜
トニー・ゴドフリー『コンセプチュアル・アート』1102夜
ハイナー・シュタッヘルハウス『評伝ヨーゼフ・ボイス』1656夜
杉本博司『苔のむすまで』1704夜
森村泰昌『芸術家Mのできるまで』890夜

ほか6篇

 

第4章 静かに、過激に

富岡鉄斎『鉄斎大成』1607夜
フランク・ウィットフォード『エゴン・シーレ』702夜
ローリー・ライル『ジョージア・オキーフ』1096夜
クロード・ロワ『バルテュス』984夜
デイヴィッド・シルヴェスター『回想 フランシス・ベイコン』1781夜

ほか6篇

 

 

自転車まみれの『全然アート』写真:松岡正剛事務所