EVENT　【千夜千冊エディションフェア特集㉜】酷暑に敗けない甲府の柳正堂書店の二つの知祭り

列島の津々浦々まで、どこにも逃れようのない猛暑が続いていますが、おかげさまで「千夜千冊エディション知祭り」はまだまだ全国で開催中、なかには7月末までという期限を延長し8月になっても継続実施をしてくださる店舗も出るなど、大好評をいただいています。

そんななか、連日40度近くの危険な暑さに見舞われている甲府エリアでは、5つの書店でフェアを実施。仕掛人は、先ごろ当チャンネルで紹介した甲斐市の敷島書房同様、みずからも甲府で書店を営むイシス編集学校の宮川大輔さん。

このうち柳正堂書店のオギノバリオ店（甲府市）および甲府昭和イトーヨーカドー店（昭和町）のレポートと写真が届きました。取材は、やはり敷島書房を担当された山梨在住の内田文子さんです。

以下、酷暑に敗けず内田さんが届けてくださったレポートと写真によって、柳正堂書店の二つの店舗のフェアの様子を紹介します。

柳正堂書店は1854年（嘉永７年）創業の、山梨県内でもっとも歴史のある書店です。創業の地は甲州街道の宿場町として栄えた甲府市柳町でしたが、現在は甲府市のショッピングセンター・オギノイーストモールバリオ内と昭和町のイトーヨーカドーに店舗を展開。それぞれ「街の本屋さん」として地元の人びとに親しまれています。

 

◆柳正堂書店　オギノバリオ店

オギノイーストモールのある甲府市朝気は、縄文～平安時代の遺物・遺構が多数出土する、古くから人が暮らしてきた地域です。甲府を代表する地場産業でもある宝石貴金属の加工業者が多くあります。

 

ショッピングモールのキーテナントであるオギノは、山梨を代表する地場スーパーマーケット。

 

柳正堂書店オギノバリオ店に来るとすぐに目に入るのが、エディション知祭り棚。入り口の黒い柱の前で開催されています。店内は書籍のほかに文具コーナーも充実。もともと書物と小間物販売からスタートした柳正堂書店の歴史をいまも守っているようです。

 

黒い柱がポスターの黒や松岡さんの顏によく映えると、満場一致でこの場所を選んだのだそう。

 

フェアを導入してくださった切金章之さん（左）と文芸担当の横瀬若菜さん（右）。

 

さまざまな経験を積んで柳正堂書店に入社した切金さんは、「松岡正剛さんのお名前はもちろん知っていたが、あまり縁がなかった」と告白。

 

横瀬さんは、新卒で入社してからずっと書籍を担当している柳正堂書店のエース。「父が松岡正剛さんのファンで、松丸本舗にも行きました」と目を輝かせてお話くださいました。今回のフェア開催をお父様も喜んでくださり、初日にご来店くださったそうです。

 

千夜千冊エディションフェアは、店舗のふだんの客層からは遠いように感じたそうですが、社長の「チャレンジだからやってみよう」という一声で、参加を決定。入り口の一等地にフェアをかまえたことで、通りがかりに本を手に取るお客様の姿も見られるとのことでした。

昭和町は甲府市の隣、甲府盆地のほぼ真ん中に位置します。人口2万人ほどの小さな町ですが、2000年代に入ってから大型ショッピングモールが2つ誕生し、甲府盆地全域から八ヶ岳、諏訪周辺までの住民に欠かせないお買い物エリアとなっています。

 

ありったけのフェアツールを駆使したド派手な知祭り棚がお目見え。よくみるとA6サイズのセイゴオの顔写真入りのミニポップがすべての棚に飾られています。棚の目の前は、マッサージチェアの並ぶ休憩コーナー。休憩されるお客様ははたしてこの数十ものセイゴオの目線の「圧」に耐えられるのでしょうか。

 

21冊目の『資本主義問題』とともに特製POPも掲示されていました。

 

フェアを担当された青柳力さんは、県内書店業界のベテラン。「千夜千冊エディションは、面陳の力があるんですよね」とにこにこしながら語ってくださいました。

 

エディションを始めとする松岡本は、今回のフェアをきっかけに初めてそうですが、「土日に2、3冊買っていかれるお客様がいた」と手応えを感じていらっしゃるようです。

 

柳正堂は創業当初、「誠実を基本とする正価販売」を唱える経営思想がメディアで広く紹介されました。いまも誠実にお客様に寄り添いながら、一歩先の提案をすることを心掛けているとのことです。

 

店内には、「猫」をテーマに本やグッズを集積したコーナーも。こちらもスタッフの皆さんが工夫をこらし密度感によってにぎわいを演出しているようです。

 

 

 

柳正堂書店　オギノバリオ店・甲府昭和イトーヨーカドー店
https://ryusei.co.jp/shop/

＊千夜千冊エディションフェアは7月12日～7月末まで
＊売り場は8月中旬まで展開中です