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2021.03.09 NEWS

せいこうさんの『うたかたの国』書評と米山拓矢さんの編集術

3月6日の朝日新聞に、いとうせいこうさんによる『うたかたの国』(工作舎)の書評が掲載されました。『うたかたの国』はセイゴオの教え子である編集学校師範の米山拓矢さんの編集によって、「Seigow Rimix」第二弾として今年1月に刊行されたものです。

 

せいこうさんは、「筆者本人から文を切り離し、なおかつ新たになるべく短く接合し、大胆に並び替えることで歌論としての新局面を導き得ている」「おかげで松岡の本を読み慣れている私にさえ、新鮮な思考が生まれ続けた」と、米山さんによるリミックス編集を大絶賛。

 

せいこうさんの書評は、朝日新聞書評サイト「好書好日」でも公開中

 https://book.asahi.com/article/14243085

 

 

その米山さんは、さきごろイシス編集学校の「第14季【離】世界読書奥義伝」のオンラインプログラムに先輩離学衆として登場し、『うたかたの国』のために数年がかりでセイゴオの著書から日本の詩歌および日本語にまつわる文章を収集し編集したときの方法論を明かしました。

もともと第5季【離】を受講したときから、徹底してセイゴオの著作を書写したりインデックスシールを貼るなどして、手作業を通してセイゴオのキーワードやコンテキストの組み立てを学習しつづけたと語る米山さん。その手には、インデックスで倍以上もの厚みに膨らんだ『花鳥風月の科学』が。

 

 

 

「こうやって手を動かすことで、自分の思惑や思考のフレームから離れることができるんです。《情報は一人ではいられない》という松岡校長の有名な言葉がありますが、ではこれらの情報はどこにいきたがっているのか。それを知る手がかりが、まず自分の頭に余白や空席をつくることから生まれてくる。粛々と手を動かしつづけることで、作者や編集者の思いからも離れて、そのテクストや情報が行きたがっている行き先が見えてくるような気がしてくるわけです」。

 

米山さんが見せてくれたインデックスシールだらけの本たちが、「歌論としての新局面を導き得た」とせいこうさんに言わしめた『うたかたの国』の土台になっていたようです。