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2023.07.27 PUBLISHING

【Publishing】入試問題を通して「国語」を問い直す! 『松岡正剛の国語力』いよいよ刊行

東京書籍と松岡正剛事務所が2年を費やして編集制作した『松岡正剛の国語力』が、ようやく刊行日を迎えます。なんと、セイゴオの著作が使われた入試国語問題をネタにしながら、国語力の問い方そのものを問い直すという、前代未聞の一冊です。サブタイトルは「なぜ松岡の文章は試験によくでるのか」。

 

 

7月31日~8月1日あたりから全国書店にお目見え。カバー&帯の表紙側は赤、裏表紙側は青。きっぱりしたトリコロールに、赤鉛筆・青鉛筆をあしらっただけの、シンプルながら堂々たるデザイン。装幀は長谷川理さん。

 

本書の制作は、これまで中学・高校・大学合わせて90校以上で出題されたセイゴオ著作の国語問題を、片っ端から解いてみるところからスタート。そのために総勢50人以上のイシス編集学校の師範・師範代および[離]習得者の皆さん、さらにはそのご家族の皆さんの協力をいただきました。一人あたり数本ずつの問題を分担して解いてもらうとともに、どの問題が難しかったか、おもしろかったか、納得できない問題はあったか、といったアンケート調査も実施。そこで「良問」との評価が多かった問題について、さらに数人からなる「国語問題研究チーム」とセイゴオが細かく分析・討議し、最終的に本書に紹介する問題を選抜しました。

 

 

本書目次。東京都立戸山高校・慶應義塾女子高等学校といった名門校から、石川県立総合看護専門学校のような意外な学校までの入試問題がずらりと並ぶ。セイゴオがまえがき「AI時代の国語力」を執筆。構成編集は太田香保。

 

さらに本書では、もっとも「良問」との評価が多かった光塩女子学院中等科の入試問題を実際に作成した佐野摩美先生と、セイゴオの文章を使って骨太の国語教材を編集した浜島書店の担当者の方々へのインタビューも決行。それぞれ、「なぜ松岡の文章は試験によくでるのか」という問いに対して、セイゴオも感服するような答えを披露してくださいました。

 

既出の国語問題だけではありません。本書は、セイゴオの編集工学の思想やノウハウを生かした新作国語問題も提案します。作問は、イシス編集学校の経験者であり、本業で国語教育や教材開発にかかわってきた「国語問題研究チーム」の皆さんです。近年の入試国語で増えつつある文章比較問題のあるべきスタイルを追求したものから、セイゴオが書いたエッセイの続きを書かせたり物語のあらすじを書かせたりするもの、文章読解と図解を組み合わせたもの、さらにはスマホ検索や討論を組み込んだものなど、大胆でユニークな国語問題がずらり。

 

そして本書ならではの目玉が、セイゴオ書き下ろしの「国語力の鍛え方」。日本語や文章に目覚めていった「国語のおいたち」を初めて詳細に“告白”します。また、世界言語と比較した日本語の特質をふまえて、日本語で思考し読み書きをするために理解しておくべきこと、読書を通して国語力を磨くためにセイゴオ自身が心がけてきたことを明かします。

 

 

目次の後半。作問者へのインタビューで構成した第4章、セイゴオ書き下ろしの第5章、セイゴオの著書を駆使した新作国語問題の第6章。

 

第1章「こんなによく出る『日本文化の核心』」の導入ページ。『日本文化の核心』は2020年に刊行されるやいなや10校以上もの入試問題で採り上げられた。

 

本書で採り上げた入試問題には「解答例」も付けている。セイゴオが、自分の著書を使った問題に対する感想やとまどいを、つぶやいている。

 

カバー袖にはニコニコ顔のセイゴオ。イラスト担当は末廣裕美子さん。ほかにムズムズ顔、納得顏、ビックリ顏など全7種の表情を本書のあちこちで展開。

 

第4章「松岡正剛を試験問題にするポイント」より、光塩女子学院の佐野摩美先生へのインタビュー。2014年に中等科入試問題で『知の編集術』を使ったすばらしい問題を出題。残念ながらこのインタビュー後にがんのため逝去された。はからずも本書は、国語教育に熱意を注いだ佐野先生の“遺作”にもなってしまった。

 

第6章「松岡正剛の新作国語問題」より、セイゴオのエッセイを題材にしながら、とことん書かせるユニーク問題。

 

松岡正剛+イシス編集学校
『松岡正剛の国語力~なぜ松岡の文章は試験によく出るのか』

東京書籍 2023年8月17日発行 定価1870円(本体1700円+税)
全402ページ

 

書店向けに東京書籍が作成したポスター。セイゴオによるまえがき「AI時代の国語力」をコピーに生かした。

 

 

記事:太田香保
写真:寺平賢司