- 2022.06.30 PUBLISHING
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セイゴオのメディア掲載情報(1月〜6月)
1月以降のセイゴオのメディア掲載情報をお知らせします。
①本棚劇場第2幕がスペクタクルに動き出す
「武蔵野樹林 vol.10 2022夏」に、セイゴオがエディットタウンの「本棚劇場」について文章を寄せました。
「武蔵野樹林」は角川武蔵野ミュージアム設立にあわせてつくられた雑誌で、武蔵野台地の歴史、地形、風土、文化を伝えることを目的としています。セイゴオは角川武蔵野ミュージアム館長として、創刊号のときから対談やインタビュー、執筆などさまざまなかたちで登場してきました。
最新刊となる「武蔵野樹林 vol.10」では、角川武蔵野ミュージアムのシンボルである”本棚劇場第2幕” を特集。これまで高さ8mの本棚にプロジェクションマッピングを投影させ、映像と本を融合させた演出で多くの話題をあつめてきた本棚劇場。その第2幕として、人気漫画『文豪ストレイドッグス』とコラボした新たなプロジェクションマッピングが展開されます。エッセイでは、セイゴオが本棚劇場に込めた思想と成立について綴り、”じっとしない本たち”の素性を明かします。
本棚はもっと饒舌に、もっとお節介に、もっとファッショナブルに、むこうから語りかけてくるべきなのである。一言でいえば、本棚空間はスペクタクルであるべきだと確信したのだ。
(セイゴオ本文より抜粋)
「武蔵野樹林 vol.10 2022夏」版元:KADOKAWA
定価:1,056円(本体960円+税)
発売日:2022年6月29日
角川武蔵野ミュージアムの「本棚劇場」は、豪徳寺オフィスのブックスペース「本楼」にあるステージ「本棚劇場」(左)が由来になっている。
②チェコ映画史上最高傑作の映画にコメント
7月2日から日本全国で公開される映画《マルケータ・ラザロヴァー》にパンフレット用のコメントを寄せました。
《マルケータ・ラザロヴァー》は13世紀ボヘミア王国を舞台に宗教と部族間の抗争に翻弄される少女マルケータを描いた、チェコ映画史上最高傑作と評される作品です。1967年の公開から55年の時を経て日本初劇場公開となるにあたって、セイゴオにコメントの依頼がやってきました。依頼内容を読んだセイゴオは、「うん、これは好きなタイプの映画だ」と快諾。映画鑑賞中は熱心にメモし、見終わってまもなく凝縮されたコメントを書き上げました。
以下、コメント全文です。
21世紀の現在が喪失しているもの、それは中世だ。聖書の神意と諸王の暴虐は、中世に大きく覆っていたのである。西欧社会はこのことを忘れたふりをしつづけた。慧眼のフランチシェク・ヴラーチルはとっくにそのことに気づいて、10年をかけた本作にとりくんだのであろう。
聖欲と天罰、待ち構える隼と追い続ける狼、釘と靴と剣のエロス、侵犯と懴悔のリフレイン、神と獣帯の対同、姦淫が育む恋闕、累々たる死体と飽くなき野心、立ち止まる大鹿と迷う小羊‥‥。中世の多くの対比的寓意がモノクロームの瞠目すべきアングルに抉られて、中世の意思を鮮烈に問うている。
物語の進行はすべてト書が暗示して、映像はまるで世阿弥の神体・軍体・女体・老体・玄体が示すかのように、登場人物たちの眼光の力だけを雪中に映し出す。その編集技法は数人の守護聖人の視線のようだった。そういう忘れがたい映画である。
(セイゴオコメント・全文)
1967年のチェコ映画「マルケータ・ラザロヴァー」
7月2日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。
③『かさねの作法』の著者からの千夜アンサー
千夜千冊1526夜でとりあげている日本文化学者の藤原成一さんの著書『かさねの作法』の新装版が、KKベストブックで刊行されました。そのあとがきに、藤原さんが千夜千冊へのお礼と、セイゴオの問いへの応答を8ページにわたって展開。藤原さんは”かさね”の基底にある”あそびごころ”こそが大切だとして、セイゴオに日本学新生のための共闘を呼びかけてくださっています。
帯文には「編集工学者・松岡正剛氏”千夜千冊”で絶賛の書、復刊!」の謳い文句。献本された新装版を読み通したセイゴオは、社内のスタッフたちに本書を読むようにと、強く薦めていました。
『日本文化を読みかえる 新装版 かさねの作法』
版元:KKベストブック
定価:1,980円(本体1,800円+税)
発売日:2022年6月27日
④哲学者、清水高志さんと縦横無尽対談
哲学者の清水高志さんとセイゴオの対談がWEBメディア「DOZiNE」に掲載されました。
清水さんは昨今話題にあがるカンタン・メイヤスーやガブリエル・タルドといった現代思想の案内人としても知られる哲学者。実は清水さんは前々からセイゴオファンであり、セイゴオ書籍の感想をSNS上でたびたび発言してくださっています。ライプニッツや西田幾多郎、ミシェル・セールに共通性を発見してきた清水さんの思想にはセイゴオも前々から深く共感して、千夜千冊1780夜でセールの『小枝とフォーマット』を取り上げた際にも、影響を受けた本として清水さんの著作をとりあげていました。
WEBメディア「DOZiNE」の編集長である辻陽介さんが、清水さんの著書『今日のアニミズム』(以文社)の刊行記念として、セイゴオにオファーをしたことで対談が実現。インド哲学、仏教思想、西洋哲学、現代思想、国学、民俗学について縦横無尽に語り合い、約3万字にわたるインタビュー記事となりました。
WEBマガジン「DOZiNE」
「聴こえざるを聴き、見えざるを見る」|清水高志×松岡正剛|『続・今日のアニミズム』|
https://hagamag.com/uncategory/11043
⑤盟友・高山宏さんの最新巻に、千夜「ヴィジュアル・アナロジー」が収録
高山宏さんの最新巻『鎮魂譜 ― アリス狩りⅦ』(青土社)に、千夜千冊1235夜バーバラ・スタフォード「ヴィジュアル・アナロジー」が収録されました。
意味深なタイトルの本書は、高山さんのライフワークとなっている「アリス狩り」シリーズの7巻目。さまざまな媒体で発表した論考やエッセイ、対談記事にくわえて、巽孝之さんや鹿島茂さんといった知友や高山さんを慕う人々による高山評にくわえて、八木敏雄さんや須永朝彦さん、安野光雅さんといった近年鬼籍に入った知識人やデザイナーへの追悼文をも詰め込んだ曼荼羅的な大冊です。
盟友であるセイゴオへ直々に手紙で依頼があり、高山さんが翻訳したバーバラ・スタフォードの『ヴィジュアル・アナロジー』の千夜千冊の文章が本書におさめられることになりました。その収録千夜の文末には、以前に高山さんに贈った「学魔・高山宏・超人」の書も掲載されていて、互いのリスペクトが感じられる仕立てになっています。
『鎮魂譜 -アリス狩りⅦ-』
定価: 3,960円(本体3,600円+税)
発売日:2022年4月12日
6月某日、「中央公論」の企画で高山さんと対談。現在の人文事情からSNS社会の問題、マニエリスムの系譜からアリスの記号学まで、話題は多義にわたり、対談時間は4時間におよんだ。近日、論壇誌「中央公論」に掲載予定。
⑥セイゴオをかたちづくった10冊
「週刊現代」(2022年2月19日-26日合併号)の書籍コーナー「わが人生最高の10冊」に、セイゴオが登場しました。タイトルの通り、マイベスト10冊を選ぶコーナーですが、膨大な書籍を紐解き血肉化してきたセイゴオには、限られた冊数に絞るのは至難の業。そこでセイゴオの提案で幼少期から学生時代という一番多感な時期に影響を受けた10冊という切り口で選定することになりました。
『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』の著者の一人である神田桂一さんがインタビュアーをつとめて、セイゴオの10冊と青年期までのヒストリーを一見開きに凝縮してまとめてくれました。
「週刊現代」(2022年2月19日-26日合併号)
「わが人生最高の10冊」
以下、10冊を選定しました。
1.石井桃子『ノンちゃん雲にのる』
2.モールス・ルブラン『813』
3.幸田露伴『五重塔』
4.稲垣足穂『一千一秒物語』
5.エドガー・アラン・ポー『ユリイカ』
6.折口信夫『死者の書』
7.マーティン・ガードナー『自然界における左と右』
8.シュレディンガー『生命とは何か』
9.コンラード・ローレンツ『鏡の背面』
10.岡倉天心『茶の本』
⑦知られざる幻想の画家、近藤弘明のトワイライト
2022年のはじめに小田原三の丸ホールと松永記念館で開催された日本画家・近藤弘明の特別展「近藤弘明―幻華」に、セイゴオが長文エッセイ「幻想幻視された浄土の華」を寄稿しました。
近藤弘明(1924-2015)は、仏教的浄土世界を思わせる仏画の描き手で、創画会を中心に作品を発表し、内外で受賞を重ねて、「幻想の画家」として高い評価を得てきました。
セイゴオは4000字にわたって、知られざる日本画家が描こうとした「いたたまれないもの」の正体を追っています。
われわれが此岸と彼岸のあいだにいる「いたたまれない存在」や「はかなくうつろう存在」であることを覚悟して、その二河白道のぎりぎりのところから幻想幻視される浄化の光景を描こうと決めた。そのぎりぎりのところは現世と浄土の境いであるがゆえに、二つの光が交差するトワイライトな状態なのである。トワイライトとは夕刻の光のことだ。昼と夜とが交差する。近藤はそのトワイライトな光を幻華に託した。
(セイゴオ本文より抜粋)
特別展「近藤弘明―幻華」
公式HP上に、セイゴオのエッセイ「幻想幻視された浄土の華」の全文が公開されています。
https://komeikondo.setenv.net
文:寺平賢司
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