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2021.01.23 PUBLISHING

セイゴオの詩歌論『うたかたの国』工作舎から刊行

2021年1月20日、セイゴオが千夜千冊ほかさまざまな著書に綴ってきた日本の詩歌論ばかりを集めて編纂した『うたかたの国』が、工作舎から発売されました。セイゴオの日本文化論を集めた『にほんとニッポン』に続く、「セイゴオ・リミックス」第二弾です。

 

本書はもともと、教育図書の出版社につとめる編集者であり、イシス編集学校の師範代でもある米山拓矢さんの企画から生まれたもの。米山さんは、編集学校の名物講座「風韻講座」で歌人の小池純代師範の薫陶を受けるうちに俳諧・短歌・連歌の世界にのめりこみ、千夜千冊が『柿本人麻呂』をもって1500夜を達成した2013年ごろから、セイゴオの詩歌論ばかりを集めたアンソロジーを編んで、そこから「日本という方法」を逆照射してみたいという野望を抱き、全著作を当たって一人でコツコツと編纂作業に取り組み始めたと言います。

 

「ようやく形になりました」と、米山さんが満を持してセイゴオにその労作を届けにきたのが2018年1月。千夜千冊をはじめ新旧のセイゴオの著作から、和歌・連歌・俳句・短歌はもちろんのこと、日本語や詩や邦楽やポップスまでも含んで、日本人の〝うたごころ〟にちなむありとあらゆる文章を収集、しかも古代から現代までの歴史に沿って「日本という方法」を炙り出す独自の章立てに編纂されたものとなっていました。

 

出力すると1000頁を優に超えるこの大部なアンソロジーの出版を引き受けてくれたのが、工作舎の編集長米澤敬さん。約1年ほどをかけ、米山さんの編纂意図を生かしながらも、めりはりの効いた再編集によって、「うたかた」の国ニッポンの面影が際立つ1冊へと仕立てあげられました。

 

米山さん・米澤さんの「米米コンビ」が仕立てた、異色のリミックス本。セイゴオも、むさぼり読むほどおもしろくてたまらないらしい。

 

 

――本書の白眉は、書名に端的にあらわれています。歌の醍醐味は「うたかた」です。うたかたとは、水の泡。夢かうつつか幻か、はかなく消えやすいものをたとえる例です。「絵に〝絵そらごと〟があるように、歌にも〝歌虚言〟がある」と述べたのは、歌人の岡野弘彦さんですが、もし歌そらごとのたぐいがすべてなくなったとしたらこの世はさぞかし殺伐とした味気ないさまに変わってしまうだろう、というわけです。これぞ、うたかたの国の真面目です――米山拓矢 あとがきより

 

 

文:太田香保