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2021.08.27 EVENT

EVENT【千夜千冊エディションフェア特集㊳】上越の知祭り―知遊堂上越国府店

猛暑にも負けずまだまだ全国各地で開催中の千夜千冊エディションフェア、仕掛人であるイシス編集学校の皆さんからも、地域色の豊かなレポートと写真がつぎつぎ届いています。今回ご紹介するのは新潟県の上越市にある知遊堂・上越国府店の知祭りです。地元出身の白川雅敏さんのレポートでお届けします。

新潟県上越市といえば、念仏弾圧のため流された親鸞が身を寄せた草庵の跡地に建てられた本願寺国府別院(写真左)。小川未明の代表作『赤い蝋燭(ろうそく)と人魚』にちなんだ人魚像(写真右上)。未明の父が上杉謙信を祀るために創建した春日山神社(写真右下)。

 

そして、知遊堂・上越国府店です。「情報を動かせる形にすることを知という」「編集は遊びから生まれる」と説く松岡正剛のブックフェアを開催するのにふさわしい書店ではないでしょうか。

 

知遊堂という店名は社内公募で決まったそうです。

「知」=あふれる知識・情報に触れることができる

「遊」=趣味・娯楽など人生を豊かにする情報に出会える

「堂」=そんなすべてを一堂に。

というふうに、読書好きの社員からの提案で、書店の持つ可能性、魅力を名前に込めているのだとか。

 

そう教えてくれたのは、上越国府店で文芸書、文庫・新書、人文書、ビジネス書を担当する野池裕輔さんです。野池さんは、書店歴12年のベテラン、エディションフェア開催を決定したのも野池さんでした。

 

「当店は、平日の日中はご年配の方が、健康実用書や社会評論、時代小説を求めに来店されます。文具の品揃えも充実しているため、夕方からは学生さんやビジネスマンの姿が増えます。カフェを併設しているので、じっくりと読み込まれるお客様も多いです」(野池さん)

 

「休日には、家族連れや若者が訪れ、児童書や学習参考書をお求めになられます。何と言っても上杉謙信や親鸞聖人の縁の地なので、関連書籍も強いです」(野池さん)

 

「例年行っていたフェアがあるんですけれど、その代わりに、棚スペースに合った規模の、それでいて読み手を満足させる、しっかり芯の通った“硬派”なフェア企画が欲しかったんです」と語る野池さん。なるほど、棚の上から睨みをきかす松岡正剛は“硬派”にぴったりです。

 

知遊堂上越国府店の千夜千冊エディションBEST 3は、1位『面影日本』、2位『宇宙と素粒子』、3位『本から本へ』とのこと。『本から本へ』は千夜千冊エディションのキーブックとしてランキング入りは当然として、『面影日本』は雪よけの屋根、雁木(がんぎ)がいまに残る上越らしく、『宇宙と素粒子』は“硬派”なフェアを仕掛けた野池さんにとってシメシメ、といったところでしょうか。

 

「私は『ことば漬』が好きなんです。ことばの種類や背景、日本語の難解さと表現力など、その魅力が読み手に存分に伝わってくるんです」と、野池さんご自身のお気に入りエディションも教えてくれました。

 

知遊堂の創業者は、読書を通して先人の智恵から影響を受けたという体験をもとに、異業種から参入して書店の創業を志したそうです。人生を豊かに育む知的読書体験をとの創業者の願いが、野池さんの棚づくりの思想にもつながっているようです。

 

「千夜千冊エディション」フェアのキャッチフレーズは、「知祭り」。知遊堂の夏にとって、これ以上ふさわしいフェアはなかったことでしょう。

 

 

知遊堂 上越国府店
https://chiyudo.com/chiyu/new/

*千夜千冊エディションブックフェアは8月31日(火)まで開催中。