セイゴオちゃんねる
最新情報最新情報
2021.07.15 EVENT

EVENT【千夜千冊エディションフェア特集㉕】20坪から起爆する、甲斐の国の知祭り

 現在、山梨県では甲府市を中心に各地で大小の千夜千冊エディションフェアが次々に開幕しています。その数なんと全8店舗。仕掛人はみずからも甲府で書店を営むイシス編集学校の宮川大輔さんです。

 そのなかで、いちはやく6月中旬からスタートしている甲斐市の敷島書房のフェアの情報が届きました。取材とレポートは、山梨で地域づくりに尽力しているイシス編集学校の内田文子さんです。

甲府市は山梨県のほぼ中央、四方を山に囲まれ南北に長く広がる盆地です。「甲府」の名称は「甲斐国の府中」を意味し、武田信玄の父である武田信虎が名付けたと言われています。この写真左側の銅像の人物が信虎です。有力土豪層が割拠し乱国となっていた甲斐を統一し、甲府の城下町を開創するなど画期的な政策を推し進め、戦国大名・武田氏の基盤を築きました。

 

ちなみに、写真中央の建物は、旧睦沢学校校舎(国重要文化財)。1875年、敷島書房のある甲斐市敷島(当時は睦沢村亀沢)に建てられたもので、当時の山梨県知事藤村紫朗が推進した擬洋風建築の建物です。平成22年にいまの甲府駅北口に移築されました。右奥に見えるのは、地元を代表するメディアである山梨日日新聞社・山梨放送グループの拠点である山梨文化会館(丹下健三氏の設計)。

 

敷島書房は、甲府駅北口から5キロほど西へ向かった街道沿い。車では通り過ぎてしまいそうな佇まいの町の本屋さんです。

 

入り口には、セイゴオが睨みをきかせているメインポスターと2種のPOPが。

 

店内に足を踏み入れると、またセイゴオが睨みを効かせています。エディション知祭り棚は、写真左奥の文庫コーナー。売り場面積20坪と限られたスペースですが、一冊一冊の本が大切にされているようすが伝わってきます。

 

文庫棚のいちばん目につくところに、エディションが全冊ぎっしりと収められています。もともと、敷島書房で扱っていたエディションは3冊程度だったそうです。今回、全エディションの内容をご覧になり、「全部置かなければ!」という使命感に駆られたと、一條店長が語ってくださいました。「ポスターの『知祭り』というキャッチフレーズがすばらしいですね!」とも。

 

店長の一條宣好さんと、いっしょにお店を営むお母様の富貴子さん。お母様が手にされた『本から本へ』で取り上げられた小川道明は、お母様のいとこに当たられる方なのだそう。

 

 

店長の一條宣好さんは、敷島書房の一人息子。お母様の影響で幼いころから民話に親しんできたそうです。現在は書店の経営のほか、郷土史研究家としても活躍、なかでも「ぼくのヒーローです」と語る南方熊楠に関しては数々の論文も書かれたほか、2018年には店舗で「熊楠と猫展 in 山梨」を開催されたほどの思い入れがあるそうです。

 

お母様の富貴子さんも読書家で、「松岡正剛さんといったらわたしはこの本が好き」といって取り出されたのが『フラジャイル』のハードカバーでした。発売当初の1995年に「弱さ」に着目した視点にわくわくしたと語ってくださいました。

 

山梨県は人口80万人ほどですが、1万人あたりの書店数は1.03と全国8位を誇ります(日販『出版物販売額の実態2019』)。職住が近接する山梨では、住宅街にぽつぽつと佇むこじんまりした本屋さんが地域の読書を支えてきたのです。敷島書房さんもそのひとつ。

 

すでに一條さんが発信されたTwitterでのフェア告知を見て、何人ものお客様が訪れているとのこと。本好きの親子が営むこの20坪の書店から、エディション知祭りをきっかけにした新たな交流が広がっていきそうです。

 

店内奥には、熊楠や郷土史の本が並ぶ一條店長の蔵書コーナーもあり、お客様にも開放されています。なお、熊楠最初の刊行本「南方閑話」は、なんと甲府の坂本書店出版部から発売されたのだそうです。

 

敷島書房
https://twitter.com/jack1972frost

〒400-0124 山梨県甲斐市中下条660
TEL:055-277-2110

*千夜千冊エディションフェアは現在開催中、期間は未定です。