- 2023.01.13 REPORT
-
【REPORT】2023年、早くも発熱発火の新年会
2023年1月6日、豪徳寺イシス館は波乱含みの新年のスタートを切りました。ここ数年、編集工学研究所と松岡正剛事務所の正月明けは、セイゴオおよび各リーダーの年始挨拶に始まり、松陰神社への初詣、それぞれが一冊の本に託して抱負を語る「肖册会」の三本立てで、丸一日がかりの新年会を行ってきました。が、今年はなんと松岡事務所の寺平がインフルエンザでダウンしてしまい、はからずも “濃厚接触者”となってしまったセイゴオも大事をとって午前の部は不参加、ようやく午後になってから全員が顔を合わせるという異例の新年会となりました。
大事をとって午後から参加したセイゴオの年始挨拶は、人類学者の山極壽一が西洋的近代主義の限界を突破するコンセプトとして提唱する「第二のジャポニスム」の話から始まった。
これから日本人はどのようなナラティブを発揮していくべきなのか、どう「システム」をつくりあげていくべきなのか。セイゴオは、いま必要なのは「連続して思考する力」ではないかと語り、スタッフたちに思考と編集のヒントを授けてくれた。
「肖册会」の進行は毎年持ち回り。今年は衣笠純子と山本春奈が総勢22人の「本語り」を仕切った。一人ひとりの発表に対して、セイゴオが選本やメッセージ内容について甘辛絶妙なコメントをくれる。
棚に並んだ22人ぶんの「肖册本」。ちなみに、松岡事務所の面々の選んだ本は次の通り。
寺平賢司:コール・ハース『S・M・L・XL』
上杉公志:ケプラー『宇宙の調和』
和泉佳奈子(百間):杉本博司『現な像』
太田香保:リチャード・オヴェンデン『攻撃される知識の歴史』
なおセイゴオがもっとも驚き感心した肖册本は、撮影担当の後藤由加里によるアニー・リボリッツの写真集だったようだ(写真左端の大型本)。高熱で倒れた寺平のほかにも仕事の都合でこの場を欠席したスタッフもいたが、「肖册本」は全員が準備し、メッセージ代読によって参加していた。
もうひとつ、イシス館の年始にかかせない風物詩となっているのが、九天玄氣組から届く特製の「年賀」です。毎年、中野由紀昌組長の号令のもとイシス編集学校の九州っ子たちが、総力を結集して数ヵ月がかりで制作した超絶的な編集細工もの届けてくれるのです。今年はなんと博多祇園山笠仕立ての「本の山車」でした。
九天玄氣組からの年賀をことのほか楽しみにしているセイゴオ、風流(ふりゅう)なアイデア満載の山笠に、「たまげた」と感嘆の声をあげるばかり。
山笠の「表」。中央に憤怒の表情の増長天、そのまわりには色とりどりの幡とともに、本のミニチュアが並べられている。
増長天の顔をよくみると、なんと丸眼鏡のセイゴオ!
「本のミニチュア」は、九天玄氣組の皆さんが選本しメッセージを込めたもの。一つひとつ、手にとって読むことができる。
山笠の「裏」は、「表」に比べて飾りがポップで少し怪しげ。
中央には、九州名物の「にわか面」をつけた網タイツのフィギュアと、色っぽいコピーの幡が。
ミニチュアにする本の選定はおおむねセイゴオ好みをふまえているが、なかには選者のフェチだけがダダ洩れしているものも。
ミニチュア本には、それぞれの本の選者の顔写真とメッセージが収められている。写真中央が中野組長の本。
ミニチュア本を愛おしそうに一つ一つ開いて、にやにや。この年始でいちばんうれしそうな顔を見せた。
レポート:太田香保
写真:新年会=後藤由加里 九天玄氣組年賀開き=上杉公志 同山笠=寺平賢司
最新情報