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2020.10.22 PUBLISHING

千夜千冊エディション最新刊『方法文学』が刊行!

千夜千冊エディションの最新刊『方法文学』が10月25日に刊行されます。本ディションは「世界名作選」の下巻にあたり(上巻は8月に刊行された『物語の函』)、19世紀後期から20世紀の作家や詩人たちの作品をほぼ原作の刊行順に再構成。

 

悲況な生涯や退廃に満ちた生活を激しく作品に昇華させたリラダンやジャリ。世界と自分のあいだに落ちているものを「方法の魂」とみたヴァレリー、神話を下敷きにしたメルヴィルやジョイス(第1章〜第2章)。ハードボイルドなハメットとチャンドラー、意識と体と快楽がつながっていることを告白したロレンス。過剰になりすぎた欧米文明からの遁走を企てたフォースターとボウルズ(第3章)。「言外の文学」の方向性を暗示してみせたカフカとベケットとヴォネガットとピンチョン。映像との共存を示唆したヴィアンやダレルやロブグリエ(第4章)。アメリカ文学から戦後ベストセラーまで、問題作ばかりを選りすぐって一気に紹介します。

 

なお、口絵写真では村田沙耶香さんに、文学の白夜夢をまどろむモデルをしていただきました。

 

   
 
「文学は、表現方法の可能性を言葉によって弾けさせた未知の楽器による演奏である。作家は曲づくりから演奏まで一人で試みる。けれども読み手がいなければ、その作品は見えてこないし、聴こえてこない。」(追伸より)

 

『物語の函』と『方法文学』

カバー写真は、本書に登場する5人の著者の肖像写真を重ねあわせて制作したもの。造本設計を担った町口覚さんが写真家の北野謙さんの写真集「our face: Asia」(青幻舎)より着想を得た。

 

目次 :

第1章 近代の咆哮 ハーマン・メルヴィル『白鯨』300夜 / ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』953夜 / ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』1070夜 ほか
 
第2章 作家たちの方法 アルフレッド・ジャリ『超男性』34夜 / ポール・ヴァレリー『テスト氏』12夜 / ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの人びと』176夜 ほか
 
第3章 欲望と事件 ディヴィッド・ハーバート・ロレンツ『チャタレイ夫人の恋人』855夜 / アーネスト・ヘミングウェイ『キリマンジャロの雪』1166夜 / レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』26夜 ほか
 

第4章 奥の疼き ボリス・ヴィアン『日々の泡』21夜 / ポール・ボロウズ『シェルタリング・スカイ』1558夜 / カート・ヴォネガット・ジュニア『プレイヤー・ピアノ』1742夜 / ほか
 
文:西村俊克