- 2024.10.23 PUBLISHING
-
Publishing 工作舎時代のセイゴオの編集エッセイを収録した『編集宣言』(工作舎)が刊行
10月末、セイゴオが工作舎時代に綴ったエッセイを収録した『編集宣言』(工作舎)が刊行されます。
本書は、工作舎の出版案内パンフ「土星紀」に1979~1981年にセイゴオが連載していた「エディトリアル・マニフェスト」をまとめたもの。セイゴオとともに「遊」を制作し、現在工作舎の編集長をつとめる米澤敬さんが一挙に編集し、当時のセイゴオの編集的消息とそのたたずまいがわかるような一冊に仕上げました。若きセイゴオがエディトリアル・アーティストとしてどのように時代の先陣を切り、 “編集”の思想とアート感覚を世に問おうとしたのかをうかがい知ることができます。
番衆町の工作舎のデスクで作業する若きセイゴオ。当時30歳ごろだが、すでに師父のような貫禄がある。このころに思想学習はピークに達していた、とのちに振り返っている。
「遊」棚の前に置かれた『編集宣言』(工作舎)。カバー代わりの高帯には「H芸からE闘争へ!」とある。Hは「編集」、Eは「エディトリアル」。『編集宣言』の文章からは、当時のセイゴオのほとばしる編集への熱量と、おさえきれない連想の加速度を感じ取ることができる。
「私は故あって十五、六歳の頃より編集や活字の世界に取り組んできた。一部始終は、自身の裡なる存在的なるものをつねに存在学的なるものへ変換しつつ高次化する作業であった憶われる。つまり、そこにはいつだって存在が賭されていたことを確認することができた。編集は闘争でもあった。」(セイゴオ)
『編集宣言』p.18より
「遊」に挟み込まれていた工作舎の月報「土星紀」。『編集宣言』は「土星紀」に連載していた「エディトリアル・マニフェスト」をもとに編集している。前半では「類と例を持ち出す」、「埒外にむかう」、「コトとモノの二重性を捉える」といったエディトリアル・ワーカーとしての態度を表明し、後半では表紙、見返し、目次、本文組、ルビなど、具体的な本の構造に分け入り、本に潜んでいるデザイン思想を掘り下げている。「遊」の希少性もあり、一般読者には一連のエッセイをまとめて読むことがこれまで困難だった。
本書の図版には「遊」の版下や遊塾のレジュメ、『全宇宙誌』の刷り出し(上図版)、デザイナー杉浦康平さんと松岡の打ち合わせ風景など、当時の貴重写真や資料が掲載されている。
『全宇宙誌』の刷り出しを広げる工作舎編集長の米澤敬さん。米澤さんはセイゴオが若いころからその編集力を絶賛している腕利きのエディター。『編集宣言』は自らアドビのインデザインをつかって組版を作成し、一気呵成につくりあげた。これまでにも日本や詩歌に関するセイゴオの文章を集めてグルーピングした『にほんとニッポン』『うたかたの国』といったリミックス本も編集している。20代のころ「遊塾」に参加し、そのまま工作舎のエディターになって以来、現在にいたるまで編集業に情熱を傾けてきた。一方、デザイナーの松田行正さんとともにロックバンドにも勤しんでいる。
『編集宣言』(工作舎)
定価 本体1600円+税
四六判変型上製 152頁
2024.10.25刊行
https://www.kousakusha.co.jp/BOOK/ISBN978-4-87502-569-6.html
最新情報