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2023.09.21 PUBLISHING

【PUBLISHING】千夜千冊エディション『性の境界』いよいよ刊行

2023年9月22日、千夜千冊エディション29冊目、『性の境界』がいよいよ発売となります。男と女、性とジェンダー、LGBTQ+をめぐる悩ましくも香しい諸問題を、生命のいとなみから文明文化のたくらみまでを通貫しながら自在に解きほぐす、待望の一冊です。

 

カバー&帯を彩るレインボーカラーは、セクシャルマイノリティの尊厳を訴えるムーブメントを象徴するもの。帯には美輪明宏さんの「いよいよね。」のメッセージ。

 

 

本書を構成するにあたってセイゴオは、既存のWeb千夜千冊から60本以上にもおよぶ収録千夜候補をピックアップするとともに、新規に書き下ろす十数冊もの関連本を準備。最終的に千夜千冊エディションにふさわしい章立てや総ページ数に収めていくために、何度も何度も構成案をつくりなおし、平行してWeb千夜にはジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』(第1819夜)をかわきりに、本エディションに収録するための新千夜を精力的に執筆しつづけました。

 

このすさまじい編集・執筆の期間、じつはセイゴオは、昨年末に新たにみつかった肺に近接するリンパ節のがんを取り除くため、柏市にある国立がん研究センターに毎日通い、陽子線治療を受けていました(そのことは、第1823夜『なぜオスとメスがあるのか』のなかでこっそり明かしていました)。

 

多少の治療の副作用を抱えながらも、一日たりとも寝込んでしまうこともなく、しがみつくようにデスクに向かって性とジェンダーの深淵に取り組み続け、最終的に、次のような構成によって、圧巻・充実の全476ページを完成させました。

 

第1章 性の多様性

そもそも生命はなぜ「性」をもったのか、生物にオスとメスがあるのははぜかという根本を解き明かすとともに、脳科学が見つめる性、性ホルモンと環境、両性具有の文化論、母系と父系の相剋、さらには科学におけるジェンダーの問題などを扱っていく。

 

リン・マーグリス&ドリオン・セーガン『性の起源』(414夜)

リチャード・ミコッド『なぜオスとメスがあるのか』(1823夜)

ジューン・シンガー『男女両性具有』(1820夜)

リーアン・アイスラー『聖杯と剣』(905夜)

エヴリン・フォックス・ケラー『ジェンダーと科学』(1822夜)

 

 

第2章 母・女・差別

文明が伏せてきた母なるものの根源をさぐったエーリッヒ・ノイマン、バハオーフェンをはじめ、リュス・イリガライ、ジュリア・クリステヴァ、ジュディス・バトラー、上野千鶴子、トリン・T・ミンハ、小谷真理、ダナ・ハラウェイなどなどの名うてのフェミニズム論者・表現者・科学者が顔を揃える。

 

エーリッヒ・ノイマン『女性の深層』(1120夜)

ヨハン・ヤコプ・バハオーフェン『母権制』(1026夜)

上野千鶴子『女は世界を救えるか』(875夜)

トリン・T・ミンハ『女性・ネイティブ・他者』(1826夜)

ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』(1819夜)

 

 

第3章 ゲイ感覚で

もとよりWeb千夜千冊に頻出してきたゲイにまつわる本、ゲイの表現者たちの本のなかから、セイゴオ好みの多様で破格な逸脱者・越境者たちを選りすぐって構成。

 

ポール・ラッセル『ゲイ文化の主役たち』(1137夜)

ジャン・コクトー『白書』(912夜)

マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』(270夜)

伊藤文学『『薔薇族』編集長』(1208夜)

三橋順子『女装と日本人』(1274夜)

 

第4章 エロスとLGBT

エロスをめぐるフェティシズムの古代史や、フロイトが解いた「性」と抑圧の関係などを礎に、西洋芸術思想の性を大胆に再編成したカミール・パーリア、クローゼットの中のセクシャリティを暴いたイヴ・セジウィック、クィアとエロスを果敢に掲げるクィア神学などを大胆に配した。トリは、美輪明宏さんの『ああ正負の法則』。

 

シャルル・ド・ブロス『フェティシュ諸神の崇拝』(1765夜)

カミール・パーリア『性のペルソナ』(1827夜)

イヴ・コゾフスキー・セジウィック『クローゼットの認識論』(1828夜)

工藤万里江『クィア神学の挑戦』(1829夜)

キャサリン・ハイキム『エロティック・キャピタル』(1490夜)

 

 

イシスネオンのピンクがにじむ『性の境界』。傍らのバニー・セイゴオの正体はこちらの記事を御覧ください。

 

 

なお、本書巻頭には、目にも眩しいレインボーカラーをまとったドラァグ・クイーンのドリアン・ロロブリジーダさんの艶姿が仕込まれています。この詳細は追って、記事にいたします。

 

『性の境界』

角川ソフィア文庫

2023年9月22日刊行

定価1800円(税別)

 

 

 

記事:太田香保

写真:寺平賢司