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2022.04.20 PUBLISHING

publishing 千夜千冊エディションNo.24『電子の社会』刊行

4月25日、千夜千冊エディション第24冊目『電子の社会』が刊行されます。千夜千冊最初期からつねにセイゴオが目配りしてきた“デジタルズ”の動向が、この一冊に凝縮されています。

 

 

高校時代に割木とパチンコ玉で四則演算器をつくったほどの“本来デジタル派”のセイゴオは、20世紀後半から加速してきたコンピュータサイエンスには大きな期待があったようです。新しい情報文明装置の誕生に期待を抱いて、独自に編集工学を構想・体系化し、さまざまなメディアと文化と技術を融合する研究開発プロジェクトを手掛けてきました。

 

ところが、「それがまたたくまにラップトップやスマホとして世界中の端末受発信機となり、インターネットで世界がセカイに移植されていくとは思わなかった」「いまわれわれが接している電子社会ではこれらはことごとくどこかに移行可能なものとなり、もはや誰もが《世界はお引っ越し中》だと思わなくなった」(本書追伸より)。

 

本書はそんなセイゴオの「ちょっと待てよ」の気分を込めて、「千夜千冊」で採り上げてきたITやネット社会やサイボーグや人工知能に関する書籍を選り抜き展覧する一冊です。

 

「なかで、ぼくの見解の一部を、トマス・リッド、ダナ・ハラウェイ、ジャロン・ラニアー、ダニエル・コーエンが代弁してくれているふしもあるが、これは《ちょっと待てよ》の気持ちの部分的代弁であって、ぼくがどんな編集的世界像を描いているかは盛り込んでいない」とのこと。セイゴオは、『文明の奥と底』『デザイン知』『少年の憂鬱』『編集力』などとともに読み合わせすることを、お勧めしています。

 

 

千夜千冊エディション『電子の社会』

角川ソフィア文庫
2022年4月25日発売 1540円(税別)

 

第一章 デジタルただいま準備中

新戸雅章『バベッジのコンピュータ』(8夜)、フリードリヒ・キットラー『グラモフォン・フィルム・タイプライター』(529夜)、ハーバート・サイモン『システムの科学』(854夜)、ドン・タプスコット『デジタルチルドレン』(92夜)、坂内正夫監修『ビッグデータを開拓せよ』(1601夜)ほか

 

第二章 サイボーグ化する

トマス・リッド『サイバネティクス全史』(867夜)、ロドニー・ブルックス『ブルックスの知能ロボット論』(1665夜)、ダナ・ハラウェイ『猿と女とサイボーグ』(1140夜)、アンディ・クラーク『生まれながらのサイボーグ』(1790夜)、石黒浩『アンドロイドサイエンス』(1688夜)ほか

 

第三章 インターネット全盛

ドミニク・チェン『インターネットを生命化するプロクロニズムの思想と実践』(1577夜)、森健『グーグル・アマゾン化する社会』(1162夜)、ファーティック&トンプソン『勝手に選別される世界』(1604夜)、武田隆『ソーシャルメディア進化論』(1496夜)ほか

 

第四章 文明/電子機関/人工知能

ジャロン・ラニアー『人間はガジェットではない』(1513夜)、松尾豊『人工知能は人間を超えるか』(1603夜)、ジェイムズ・バラッド『人工知能』(1602夜)、ダニエル・コーエン『ホモ・デジタリスの時代』(1764夜)ほか

 

三世代にわたるセイゴオの愛機たちと。右は1990年ごろに遊んでいたMacintosh SE/30。左は20年近く使っている書院。奥はもっぱら検索&映像モニターとして使用しているWindows。ちょっと不気味な「人型」は、石黒浩さんから贈られセイゴオのマスコットとなっている「エルフォイド」。

 

記事:太田香保 写真:寺平賢司