- 2021.08.18 EVENT
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EVENT【千夜千冊エディションフェア特集㉟】粛々と、熱い! 札幌・MARUZEN&ジュンク堂書店の知祭り
全国50店舗で開催の千夜千冊エディションフェア、今回は最北端の札幌の知祭りレポートです。ところはMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店、仕掛人および取材は地元在住のイシス編集学校の岩野範昭さんと神尾美由紀さんです。折しも取材日は、東京2020オリンピックの最終日。「宴」が終わり再びコロナ禍のなかの日常に戻りつつある札幌で、粛々と熱さを放つエディション棚が登場します。
……その日は、東京2020オリンピックの最終日。東京よりも冷涼な空気を期待されて競歩とマラソン会場になった札幌では、なんと97年ぶりの連続真夏日最長記録を更新していた。
暑さのせいか世界的イベントが終わった街を歩く人はさほど多くない。観光名所の札幌時計台には観光客もおらず、大通公園では祭りの後片付けに追われる作業員や警備員が目に付く。
進入禁止の柵だらけの大通公園をすり抜け、南に一条ほど下るとMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店が出迎えてくれる。地下2階から地上4階までの約1600坪を本で埋め尽くす巨大書店だ。
エスカレーターで3Fにあがると、文庫棚の隊列。その奥から、鋭い視線が。吸い寄せられるように近づいてみると……。
ブルーやグリーンで色彩統一された爽やかな夏フェア棚に囲まれて、黒のPOPが存在感を放つエディション知祭り棚。
もっと近づくと、「エディション」が出版年順に丁寧に並べられ、二色の解説POPが添えられている。その隣には、セイゴオの著作とともに選りすぐられた関連本も。
取材に応じてくださったのは文芸書・文庫担当の伊藤樹里さん。東京にいらした際には松丸本舗に足を運んでいたとのこと。
今は最新刊の『資本主義問題』が一番よく出ているらしい。手に取って「世界中が注目している内容ですよね」。そうコメントしてくださいながら、手は素早く動いて、手前に置かれている表紙が反って開きかけた本と奥の本と入れ替えていく。
「この時期は本にとって厳しい季節なんです。クーラーで空気が乾燥してしまうからすぐに表紙が反ってきてしまって」。本への労りの言葉が自然とこぼれる。
同じ3階の人文コーナーにも松岡正剛エリアは健在。「エディションフェア」導入をはからってくださった菊地貴子店長によると、札幌店では空海の関連本が人気なのだという。
ビジネスマンから家族連れまで幅広い層から支持される札幌店では、猛暑に負けることなく本と知を愛する書店員さんがフェアを支えてくれている。どこよりもアツい札幌の「知祭り」は8月末まで開催中だ。
フェアを仕掛けた岩野範昭さんと神尾美由紀さん。お気に入りのエディションを手に一言。
岩野さん『情報生命』:「私もひとつの情報生命。道しるべとなるエディションです」
神尾さん『ことば漬』:「ひとひらの言の葉から滲むチャームにとっぷりと浸れるところが好きです。ことばの旨味がじわりと広がります。
MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店
https://honto.jp/store/detail_1570046_14HB320.html*千夜千冊エディションフェア期間:7月4日~8月31日
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