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2021.07.09 EVENT

EVENT 【千夜千冊エディションフェア特集 ㉑】松丸ミームを守る平安堂長野店の知祭り

JR長野駅前のながの東急百貨店別館シェルシェ内で店を構える平安堂長野店でも、エディション知祭りが始まりました。かねてからセイゴオの著書や千夜千冊、また松丸本舗にも関心を寄せてくださってきた甲信越最大級の複合書店です。

仕掛人のイシス編集学校の福田恵美さんからの写真とレポートで、平安堂長野店のフェアの様子をご紹介します。

2004年に「松岡正剛の千夜千冊の世界~おもかげの国・日本」フェアを開催、また2006年に発売になった求龍堂『千夜千冊』豪華本シリーズには、《生きていくことが困難な現代に、「書物のもつ力」を再認識させてくれるに違いないと確信している。― 平安堂長野店 小峰果林》との推薦文も寄せていただいた平安堂長野店。今回の「エディションフェア」を持ちかけたところ、二つ返事でお引き受けくださいました。

 

長野駅の真ん前に、ながの東急百貨店があり、その別館シェルシェに平安堂が入っています。

 

レジ前にしつらえられた見事な棚づくりのフェアコーナー。本好きを引き付ける工夫が満載。

 

そして、こちらが千夜千冊エディション知祭り棚。ポスター・POPの重ね貼り効果で、あたかも祭り屋台のよう。

 

「読むか、読まれるか」。特大ポスターのど迫力。

 

「エディション」とその関連本、松岡著書が絶妙な混然ぐあいで配架されている。どれもこれも手にとりたくなる。

 

力の入ったフェアを実現してくださった取締役の長崎深志さん(写真右)と、副店長の熊谷顕二さん(写真左)。それぞれお気に入りのエディションを手に、コメントをくださいました。

 

長崎さん:『少年の憂鬱』 松岡さんの千夜千冊は、普通の批評とは違う視点で書かれていて、答え合わせの楽しみと再発見があります。本書は、ノスタルジーを感じつつ、過去にタイムスリップしながら新しい発見をする、そんな一冊でした。

 

熊谷さん:『宇宙と素粒子』 好きなジャンルです。千夜千冊は、親戚のおじさんに教えて貰っているような、あとは自分で調べなさいと言われているような、そんな気がします。エディションは、本を読むことを促す本ですね。

 

エディションフェアを引き受けてくださった理由について長崎さんにインタビューをしたところ、次のようなお話もしていただきました。

書店産業は1996年にピークを迎え、以降ずっと縮小の一途をたどっています。2000年代には書店はどこも「それまでのような成長はない」という現実を突きつけられ、「創造的自己否定」にあえぎました。

われわれも他店に先んじて、文庫の著者別陳列を大手出版社からやめてくれと泣きつかれながらも断行したり、歴史関連本をクロスオーバー陳列するといった試みを始めました。本を一冊一冊自分たちで選ぶ「自主MD」にも取り組み、取次の見計らい送品を止め、また自社定番を育てていきました。

そんななか、2009年10月に松丸本舗ができた。「これだ!」と思い、何度も足を運びました。千夜千冊フェアもさせて頂きました。そんなご縁があったので、今回のフェアのお話を聞いて、「断る理由がない」とすぐに実施を決めました。「本屋としてはやらなくてはいけないフェア」だと思っています。

松丸本舗は2012年に惜しくも閉店、その時から私の中の松丸本舗は止まってしまい、ちょうど同じころから平安堂も合理化が進み、「売り場づくり」より「在庫削減・仕入れ抑制」が優先されていました。その後経営的には安定しましたが、このフェアのお話を頂いて、松丸本舗のミームとともに失われた時をとりもどしたいという思いを持ちました。「新しい取り組みをやろう」という気持ちにさせてくれたことに、感謝しています。

 

長野各地のフェアを次々と仕掛けてくださった福田恵美さん。平安堂のフェアでは選書のお手伝いもしてくださいました。人口1万人、コンビニまで車で15分の長野県飯綱町で暮らし始めて3年目。「蜘蛛やカメムシにも慣れました。お山に囲まれているので通勤は山道ドライブ、畑では雑草ジャングルと格闘と、晴耕雨読的暮らしを満喫中」。

 

福田さんによる長崎さんへのインタビューでは、長野が育んできた出版・読書文化の豊かさをめぐる話もいろいろと展開しました。「遊刊エディスト」にその全編が掲載されていますので、あわせて御覧ください。

 

 

平安堂 長野店
https://www.heiando.co.jp/storelist/nagano

*千夜千冊エディションフェア期間:6月26日(土)-8月1日(日)