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2024.10.16 PUBLISHING

Publishing 田中優子さんとの対談本第三弾『昭和問答』10月18日刊行

セイゴオと田中優子さんによる対談本『昭和問答』(岩波新書)が、10月18日に刊行されます。2017年刊行の『日本問答』、2021年刊行の『江戸問答』につづく問答シリーズ第三弾となります。

 

『日本問答』『江戸問答』では帯に二人の写真を入れていたが、『昭和問答』はセイゴオの逝去にともない、帯に写真を入れることはできなかった。

 

『昭和問答』のための対談は、『江戸問答』刊行後まもない2021年4月に始まりました。その後、セイゴオの肺癌治療のため中断してしまった時期がありましたが、毎回4~5時間にもおよぶ対話を何度も重ねて、昭和日本が抱えた問題、とりわけ戦争と敗戦にいたった道程を読み解き、そこに垣間見える日本の問題を相互に提起しつづけました。

 

『江戸問答』刊行後まもない2021年4月、早くも『昭和問答』のための対談が始まった。田中優子さんは、あらかじめ対話の方向性やテーマ案を整理したペーパーを用意して臨んだ。

 

セイゴオは、何冊かの「昭和」の本を手元に置きながら、自分にとってあまりにも同時代でありすぎる昭和の語り方を模索するかのように言葉を紡いでいた。

 

対話の後半では、ともに昭和に生まれ昭和日本のなかで大人になった者として生い立ちを振り返るとともに、二人が同時代的に読んできた50冊以上もの「昭和日本を知るための本」をめぐって、さらに丁々発止の対話を深めています。

 

対談はセイゴオの肺癌治療のため長らく中断したあと、2023年8月に再開。昭和のなかの生い立ちを振り返るとともに、同時代的に読んできた作家や本について互いに打てば響くような対話をしつづけた。

 

田中さんは、セイゴオが2023年に上梓した千夜千冊エディション『昭和の作家力』、さらにはそこに紹介されている未読の著者の本も読みこんで準備していた。

 

本書巻末には、田中優子さんのあとがき「ともにとびらをあけてきた」とともに、セイゴオによるあとがき「ゴジラが上陸するまで」が収録されています。このセイゴオのあとがきは、亡くなる直前に脱稿したもの、つまりセイゴオの生前最後の原稿です。

 

田中さんと松岡のあいだでは、まだまだ日本について語りつくせないことがある、これからも対話を続けようという約束も交わされていたようですが、それが叶うことはなくなってしまいました。

 

そのことを受けて、本書の帯は表紙側に田中優子さんによるセイゴオへの哀悼を込めた痛切なメッセージを、裏表紙側には、セイゴオのあとがきから、日本に対する痛烈なメッセージを載せています。

 

 

松岡のあとがきには、「日の丸を背負ったゴジラ」が登場します。「小さきもの」や「断片」に心を寄せてきた松岡が、なぜこんなにも巨きな火を吐く“視界体”を持ち出したのか、どうにも謎めいています。そのことをもう少し聞き出しておくべきだったと、いまになって悔やまれます。あるいは、こんなことを聞いたところで、「言ひおほせて何かある」と鋭い目でにらまれ、かわされてしまったかもしれません。

――太田香保による本書あとがきの添え書きより

 

 

『昭和問答』

岩波新書 2024年10月18日発売
1120円(税別)

 

目次

1 戦争が準備されていた

2 二つの戦争

3 占領日本が失ったもの

4 生い立ちのなかの昭和

5 本を通して昭和を読む

6 昭和に欠かせない見解

 

 

 

記事:太田香保

写真:寺平賢司