セイゴオちゃんねる
最新情報最新情報
2023.03.31 NEWS

【NEWS】册影帖第三弾『全宇宙誌』を公開

川本聖哉さんがセイゴオの編著作を映像化する「册影帖」(さつえいじょう)シリーズの第三弾が完成、本日当ちゃんねるで公開しました。今回とりあげたのは、セイゴオと杉浦康平さんを中心に7年もの歳月をかけてつくられた伝説的な本、『全宇宙誌』(1979年・工作舎)です。

 

册影帖『全宇宙誌』タイトル画面
*クリックすると册影帖の映像になります。

 

川本さんは、「連塾」やイシス編集学校そのほか、セイゴオの活動現場や活動成果を長年にわたって撮影してきた写真家。「册影帖」は川本さんにとって初めての動画作品ですが、これまでレンズを通して松岡の編集的世界観を浴びるように受けてきた経験を生かし、それぞれの本に込められたエディトリアルワークを、“カメラの目”ならではの方法で独自にとらえ、繊細な光と影の演出によって再現していきます。第一弾として『フラジャイル』、第二弾として『雑品屋セイゴオ』をすでに公開しています。

 

今回とりあげた『全宇宙誌』は、古代の人々が考えた宇宙原理や宇宙観から、本書が刊行された20世紀後半の宇宙物理学まで、人類が宇宙に対して抱いてきたヴィジョンや構想、また宇宙を解読するために用いてきたコンセプトや方法を網羅した一冊。まさに深宇宙を思わせる漆黒のページに、見開き単位のグリッド・システム、規則正しくマトリックス状に配置される文字やイラストなど極微まで計算されたエディトリアル・デザインを施し、「空前絶後のブック・コスモス」として伝説となった本です(現在は入手困難です)。

 

 

川本さんはセイゴオによるまえがき「[全宇宙史]の前宇宙史」に込められたコンセプトと、杉浦康平さんによる造本の解説を基本にしながら、この漆黒のブック・コスモスを立体的に映像化しました。もちろん、これまでの「册影帖」同様、川本さんならではの模型感覚や工作感覚もさらにバージョンアップ、セイゴオが本書で説く「回転する宇宙」をユニークな手法で表現しています。

 

音楽は第一弾『フラジャイル』でも音を担当してくださったアーティストのmamoruさんに加え、田中泯さん・石原淋さんのダンスのための音づくりを手掛けてきた村上史郎さんが初参加、『全宇宙誌』に登場する科学者たちの声をサンプリングしたスタイリッシュなオープニング音楽を制作してくださいました。映像に挿入する文字情報は、編集工学研究所の若きデザイナー穂積晴明が制作およびディレクション。

 

本編動画の下に、おもなシーンのスチール写真とともに、川本さんによる撮影技法解説や裏話も公開していますので、併せてごらんください。

 

以下、册影帖『全宇宙誌』のメイキング写真をご紹介します。

 

撮影のために『全宇宙誌』を解体し貼り合わせたものを制作。

 

セイゴオが当時の制作現場の思い出話などを懐かしそうに話してくれる。

 

『全宇宙誌』の編集構造をコズミックな図解にしてみせるセイゴオ。

 

川本さんが「回転する宇宙模型」を本楼にセッティング。セイゴオもびっくり。

 

撮影現場でずっと回転していた宇宙模型。それだけでも見飽きない。

 

さらに、川本さんが用意したのは球体の『全宇宙誌』模型。タイポディレクターの穂積とともに、セイゴオが手書きした数式をあしらっていく。

 

『全宇宙誌』の最大のエディトリアルワークの見どころ、小口のフラムスチード天球図とアンドロメダ星雲を撮影中。本編のエンディング音楽のためにピアノ演奏をしてくれた上杉公志が撮影アシスタントも担当。

 

ほぼ1年間をかけて撮影、編集、修正をしつづけ、ようやく全貌がまとまった映像を、セイゴオが試写。

 

いよいよ最後にセイゴオの朗読を収録。念入りに音声チェックをする川本さん。

 

音声チェック中に、ついついお茶目な喉ならしをして見せるセイゴオ。

 

数テイクを経て無事に朗読収録が終わり、球体『全宇宙誌』を手にほっとした表情のセイゴオ。

 

球体『全宇宙誌』を囲んで、セイゴオと川本さんが記念撮影。

 

記事:太田香保

メイキング写真:後藤由加里・太田香保