「弱さ」のなかにひそむ格別でラディカルな消息を追って、神話や物語からアート、思想、日本の歴史文化まで、多様な現象や表象を取り上げながら考察した松岡正剛の代表作。映像では、羽良多平吉氏による稠密なエディトリアルデザインをクローズアップしつつ、うつろう光や点滅する光づかいによって松岡のフラグメンタルな感覚を表現してみた。
カメラCANON R5
レンズSIGMA 50mm f/1.4 DG HSM/Art,
EF85mm f/1.4L IS,
EF100mm f/2.8 macro,
EF24-105mm f/4 L IS
ライティングLEDライト 懐中電灯(LED) 自然光
動画撮影モードFHD 1920x1080 23.98fps
アーティスト。日常的な物や行為による微かな音、過去・現在・未来および架空の音風景を探求しつづける。跳躍的な想像と綿密なリサーチによって、あり得る/あり得た歴史などをテーマとした映像、パフォーマンス、インスタレーション作品を制作。国内外のギャラリー、美術館、フェスティバルなどで発表。
http://www.afewnotes.com
*作品(ギャラリーHPより)https://yukatsuruno.com/artists/mamoru
編集工学研究所デザイナー。松岡正剛の薫陶を受けながら、編集工学第四世代として新感覚の「デザイン知」を探究。イシス編集学校のメディア全般、Web千夜千冊トップ画像、『情報の歴史21』、千夜千冊エディションフェアなどを担当。尊敬するデザイナーは羽良多平吉。
割れたガラス
このシーンのためにつくった割れガラスに本書を写して撮影。
プラチナ箔で象られた細工物のような「fragile」の文字を、
手持ち懐中電灯(LED)で浮びあがらせた。
揺れる光の向こう
レンズの前で、集魚灯電球と懐中電灯(LED)を動かしながら撮影。
集魚灯電球は、川本・太田が取材した瀬戸内のハンセン病療養所・長島愛生園の海岸で
拾ったもの。
トワイライト・シーン
2021年02月10日17時頃、豪徳寺ISIS館屋上で撮影。
映像では、西方に広がる夕焼けをタイムラプス動画で30分間撮影。
本書第3章に、松岡のトワイライト感覚あふれる文章がある。
メンディーニのハイヒール
松岡が選んだアレッサンドロ・メンディーニのハイヒールを、
デザイナーの羽良多さんが目次~扉に多重展開している。
この贅沢な仕立てを、映像ではページが自然にめくれるように表現した。
こわれもの注意!
図版ページから飛び出す「FRAGILE」のタグ。
撮影用に世界各国のデザインを集めて制作した。
黒のタグはたぶん現実には存在していない。
イルミネーション
飾り付けに使われるワイヤーのLEDライトを本に巻き付けた。
シンクロニシティ、ネットワーク、生命体……。
本書のキーワードとイメージが浮かんでは消えるように。
フラグメントな文字たち
少年のころ夢中になったプラ板加工を思い出しながら、
物資感のある言葉の破片をつくってみた。
乳白のアクリル板の底から懐中電灯(LED)を5灯透過し、破片に透明感を出す。
映像では、言葉の破片がアクリル板に降り注ぐシーンも撮影した。
(4K/120fpsのハイフレームレイト動画撮影したものをスロー再生)
非線形な光線
ワイヤーの LEDライトを本の周りでぐるぐる動かして長時間露光で捉えてみると、
霧箱の素粒子の飛跡めいた光の軌道があらわれた。
線が点々になる現象は、フリッカー現象のためと思われる。
聖女のプロジェクション
本書最終ページのベルニーニの彫刻「福者ルドヴィーカ・アルべルトーニ」を
プロジェクターで投影して撮影。
死の床で宗教的法悦に浸る聖女の表情は、官能的ですらある。